2008年10月17日

As Time Goes by

「むかしむかし」 ヘンリー・メイネル・リーム 1908年

「むかしむかし」 ヘンリー・メイネル・リーム 1908年

★★★

数日前、社会保険庁から母宛に「年金記録確認のお知らせ」が届きました。
春に届いた遺族年金受給者向けの「年金特別便」とは別のものです。
書類にはこう書かれていました。
「亡くなられた方の被保険者記録である可能性が高い記録をお知らせしています。」
「亡くなられた方」というのは、父のことです。
父の名前は大変珍しい名前で、昭和生まれの人で同姓同名の人は他に存在しないと断言できます。
ですから、これは父の記録ということで間違いないでしょう。
厚生年金の加入年月日を見て、私はとても驚きました。
このころ父はまだ高校生だったはず。
「高校時代はよく学校をさぼって、秋葉原の電気街に通っていたよ」
エンジニアだった父が、生前そう話していたのを覚えています。
父が高校を中退していたのか、それとも定時制高校に通っていたのか、私は知りません。

父が亡くなってからときおり、苦い後悔の念に駆られます。
姿も性格も父のコピーのような私だけれど、私は父の歩んできた道をよく知らない。


父は家族のなかでたった一人の男の子でした。
祖父が家を出て行ってしまったため、家族の生計は父の肩にかかっていたと聞いています。
結婚が遅くなったのはそのためだとも。
私の最初の父の記憶は、父が四十路を迎えるころの姿です。
カメラが大好きな父でしたが、父自身が写った写真はなぜかとても少ないのです。
子供のころの写真は1枚だけ、親類から借りて見たことがあります。
10代後半から20代頃と思われる写真は3枚。
山で山賊の仮装をしておどけている父。
真剣な表情で機械の検査をしている父。
そして、妹の肩を抱いて穏やかにこちらを見つめる父…それが上に載せた写真。
20代の半ばごろでしょうか。

この叔母も、もう今はこの世にいません。
私の記憶に残る父と叔母の関係は、常に緊張感を伴ったものでした。
しかし、この写真からはそんなことは微塵も感じられません。
まるで恋人同士のようにさえ見えます。
このあと何故彼らの関係が変わってしまったのか、今ではもう分からないことです。
とても苦手だった叔母。
でもこうして写真をよく見てみると、特徴的な頭の形といい眼の表情といい、私によく似ているように思われ、複雑な気持ちになります。
私は叔母を誤解していたのでしょうか。

父から受け継いだもので私がもっとも良かったと思えるものは、ユーモアの精神。
父と私からユーモアを除いたら、周囲だけでなく自分自身をも疲れさせる クソ真面目なだけの人間になっていたことでしょう。
そしてこのユーモアが父や私自身を何度も救ってきたのです。

お父さん、あなたともっと話したかった。

★★★

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posted by Fu Shusei | Comment(12) | TrackBack(0) | 芸術的呟き
この記事へのコメント
懐かしい、あったかい雰囲気の方ですね。
涼やかな目元。
大きな背中を感じますね。

叔母様との仲もきっと大丈夫だったと思いますよ。
亡くなった方は、思い出を美しく変えてくれます。

お父さん、はじめまして。
Fuちゃんのユーモアで、癒されてます(^^)
Posted by acqua at 2008年10月17日
★acquaさん★

>懐かしい、あったかい雰囲気の方ですね。

そうですね、たぶん見たまんまの印象のひとだったと思います。
晩年はなぜか野球の長嶋さんそっくりになっていました。
セ○ムのCM見るたびに一瞬父に見えて吃驚していました(笑)

叔母とはきっとあちらでは童心に帰って仲良くやっているかもしれませんね。

>Fuちゃんのユーモアで、癒されてます(^^)

あは、ありがとうです。
父のとんでもない悪戯癖も受け継いでますので、そのうち被害に遭われるかもしれませんヨ(爆)
Posted by Fu Shusei at 2008年10月17日
ご無沙汰で〜す
最近少しずつパソ復帰です
忙しくて疲れててなかなか触れなかった〜

Fuたんのお父様 なかなかのハンサムボーイ♪

「この世から去ったものは心に生きる」
逢いたい時は いつでも逢えるさ!

ワタシも数年前 父の死を知りました
(30万ほどの負の遺産相続人として
とある銀行から・・・)
相続放棄の手続きが終わって
しばらくたってからかな〜?
命を相続させてもらったんだから
30万 何とかしてやったらよかったかなと ちょっと後悔
それ以来 顔も覚えていない父が
理想の顔して いつも心の中に住んでいてます
Posted by una at 2008年10月17日
★unaたん★

お仕事お疲れ様です!

>逢いたい時は いつでも逢えるさ

うん、しかも毎日会ってるから。
私ね、オデコ出すと本当に父にそっくりなのよ。(母親が吹き出すくらい)
顔洗うときヘアバンドで前髪あげるたびに、あ!お父さんじゃん!って思う(笑)

>命を相続させてもらったんだから

命の相続…とってもいい言葉ね。
そうやって命って受け継がれていくのですね。
そう思うと自分のことも自分のまわりのひとももっと大事にしなきゃって思えるなぁ・・・
Posted by Fu Shusei at 2008年10月18日
私も多分お父さんに似ているの
そしてユーモアの精神も多分お父さんにもらったの
でもお父さんもきっと誰かにもらったのです
その誰かも上の誰かにもらって
その誰かの誰かはこの世に
ずっと笑えることがないと!!
って思ってたんだね
同じ種をまいた。
それがFUとメロに芽を出したんだなあ・・

人は多角的で
たとえば大好きな人と別れたとして
後から嫌いなことばっかり思い出して
嫌いになることだってできるし
ああ嫌いになるなんておかしいよ、
好きだったんだからって思い直して
いいところばっかりの記憶をたどることもできる
けど実際はどんな人だったかよくわからないんだ
(私はね)
わからないからこそ
愛していれば、願わくば時間がたくさんあって
その時間の中で
もっともっと知り合いたいと思うんだよね
だから
お父さんもっと話したかった
ってすごくすごくわかるよ
それはできなかったことじゃなくて
今そばにいても「愛してるよ」っていう
言葉と同じ表現なんだよ
尽きない興味なの
多分
Posted by メロ at 2008年10月18日
追夢人の顔も父に似ているの。
一重目蓋で腫れぼったいとことか(爆)
でもね。去年のお正月に「ところで、あなたは誰の子だい?」っていわれた(大爆)
まだらボケなの。父の年齢には私もボケるのかなぁ(恐)
Posted by 追夢人(ついむと) at 2008年10月18日
★メロちゃん★

>その誰かの誰かはこの世に
ずっと笑えることがないと!!
って思ってたんだね

笑いの遺伝子!
そこからずーーっと私たちに繋がってきてるって、すごいよね。
そういえば、なんて映画だったか忘れたけど原始人が出てくるやつで、原始人が「笑い」を覚える瞬間みたいなシーンがあった。
笑えるってことを覚えたのは、すんばらしいことなのかも。

>それはできなかったことじゃなくて
今そばにいても「愛してるよ」っていう
言葉と同じ表現なんだよ

うん、そうだね。愛してるからこそだね。
愛してるからこそ もっともっと知りたいって気持ちがあるのね。
確かメロちゃんには父が亡くなった直後に見た夢の話をしてたよね。
去年気持ちに一区切りついて、お墓をリフォーム。ずっと手放せなかった遺骨をやっと納めてきたよ。
Posted by Fu Shusei at 2008年10月18日
★追夢人さん★

>「ところで、あなたは誰の子だい?」っていわれた

私は父に「この顔どこかで見たことあるなぁ」って言われました(笑)
でも、私のことが誰かわからない状態でも、私に「ありがとう、サンキュー!」って言ってくれました。
頭の記憶から私の存在が消えても、心の中の私への愛情は消えてないんだなぁって確信しました。
だからきっと、追夢人さんのお父様の記憶から 時おり追夢人さんが消えちゃっても、追夢人さんに対する愛情はお父さんの心のなかにはちゃんと存在しているはずです。

>父の年齢には私もボケるのかなぁ

うーん、こればっかりは分からないですね^^;
ものすごく頭を使う仕事をしている人でも突然…ということもあるらしいですし。
運動量の少ない人は要注意だそうです。(…私だ…)
Posted by Fu Shusei at 2008年10月18日
>追夢人さんに対する愛情はお父さんの心のなかにはちゃんと存在しているはずです。

うん、そうだね。温かくて優しいお言葉をありがとう♪
Posted by 追夢人 at 2008年10月19日
★追夢人さん★

(^−^)
Posted by Fu Shusei at 2008年10月19日
お写真、Fu さまだとばかり思い込んでいました(笑)
可愛くって、ほんとそっくりです!
Posted by 追夢人 at 2008年10月21日
★追夢人さん★

>お写真、Fu さまだとばかり思い込んでいました(笑)

え、父ですか?叔母ですか?(爆)

叔母はいわゆる「小悪魔」的な魅力の持ち主でした。
そこは残念ながら似ませんでした、ハハ
(色気がほしい・・・)
Posted by Fu Shusei at 2008年10月21日
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