2008年12月04日

シュトゥックの「楽園の番人」

ミュンヘン滞在2日目にミュンヘン分離派のフランツ・フォン・シュトゥック邸を訪ねた。(ヴィラ・シュトゥック
ここは現在 美術館として公開されている。
チケットを購入し、上階の「歴史的な部屋」に上ると、そこは妖しいユーゲント・シュティールの世界。
この「歴史的な部屋」に展示されている作品のなかで最も印象深かったのが「楽園の番人」だ。


★「楽園の番人」 フランツ・フォン・シュトゥック 1889年

「楽園の番人」 フランツ・フォン・シュトゥック 1889年

さて、この威厳ある天使は何者か。
彼は楽園の番人であるケルビム(智天使)。
楽園とは、アダムとエバが永遠に失ってしまったエデンの園のことである。
蛇に誘惑されたエバは禁断の知恵の木の実を食べ、アダムもまた木の実を口にした。
そして人類に「罪」と「死」が齎された。
主なる神は言われた。「人は我々の一人のように、善悪を知る者となった。今は、手を伸ばして命の木からも取って食べ、永遠に生きる者となるおそれがある。」
主なる神は、彼をエデンの園から追い出し、彼に、自分がそこから取られた土を耕させることにされた。
こうしてアダムを追放し、命の木に至る道を守るために、エデンの園の東にケルビムと、きらめく剣の炎を置かれた。
―旧約聖書「創世記」より
きらめく剣の炎を持つケルビムの表情のなんと厳しいことか!
この輝かしい威厳を前にして、アダムとエバは、慄き、嘆いたことだろう。
もう二度とあの楽園には戻れないのだ。
シュトゥックはこのモチーフを1890年と1891年にも描いている。


★「楽園からの追放」フランツ・フォン・シュトゥック 1891年

「楽園からの追放」フランツ・フォン・シュトゥック 1891年

エデンの東に立ちはだかるケルビム。
嘆きつつ、楽園を去っていくアダムとエバ。
このあまりにも悲しい場面では、エバの肩に置かれたアダムの手が救いだ。


★「楽園の番人」 フランツ・フォン・シュトゥック 1890年

「楽園の番人」 フランツ・フォン・シュトゥック 1890年

こちらでは、植物の生い茂る楽園と昏い外界の差がくっきりと強調されている。
この作品から思い出されるのは、同じ1890年頃に描かれた「ルシフェル」である。


★「ルシフェル」 フランツ・フォン・シュトゥック 1890年頃

「ルシフェル」 フランツ・フォン・シュトゥック 1890年頃

ルシフェルはかつて神に愛され、「明けの明星」と呼ばれていた大天使だった。
慢心し、神に反逆したルシフェルは、地に堕とされ、神の敵「サタン」となる。
自己中心の罪と傲慢さが彼に与えたのは、永遠の孤独…。
地底の闇に微かに届く光が彼の姿を浮き上がらせている。
あの輝くケルビムとは対照的な姿である。

★★★

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家用のメガネ(なんと2,625円!)を新調したら、
相方に「髭男爵のひぐち君に似てる!」と言われました。
すっぴんでメガネを掛けるとほんとに似てる(泣)
posted by Fu Shusei | Comment(15) | TrackBack(2) | 芸術的呟き
この記事へのコメント
カッコイイですねー(笑) 楽園の番人ですか!
比較するのもおこがましいですけれど、どこかの門番とはえらい違いです(^^;
シュトゥックのエッチングもいいですね♪
Posted by 追夢人(ついむと) at 2008年12月04日
★追夢人さん★

一番上の番人さんは、いま天使堂のポストの中にいるはずです(笑)
かっこよく飾ってやってくださいね。
でも、くれぐれも天使堂の入り口近くに置かないでください。
「天使堂に入るな!」の天使になっちゃいますからっ!

ルシフェルのエッチングは、同じ物の油彩もあります。
光の表現がエッチングとはまた違った良さがあるので、機会があればご紹介したいです。
Posted by Fu Shusei at 2008年12月05日
「楽園の番人」の目もくらむような
光の輝き・・・。
背後からの光の透け感がたまらないですね!

確かに・・・
黒を多用したお顔のりりしさは
不自然な程かもしれませんね。

でも、このまばゆい光が
心地良いです^^。
ごちそうさまで〜す。
Posted by kaoru at 2008年12月05日
「天使堂に入るな!」
ってことは、入ろうとしたらずっと目の前にいてくれるの?
したら邪魔しに行こうかな〜って気分になる
凛々しい天使ですねん♪
どついて♪どついて♪♪(あほ)

ルシフェルの構図、どこかで見たことあると思ったら、
システィナ礼拝堂の「最後の審判」で、
地の底に落とされていく死せる人だ。
右の手に力がこもってる。すごいエネルギー
Posted by acqua at 2008年12月06日
ゴスペルで確かケルビムの名前を叫んだよ
(チェラビンのこと、だよね?)

それにしてもひげ男爵って!!
Posted by マイメロ at 2008年12月07日
Fu さま:
ご心配をおかけしましたが、一番上の番人さんも、ほかの仲間?と一緒に無事で天使堂のポストの中にいました〜(笑)
ほんとうにありがとうございました!
ただいま、場所も含めて、かっこよく飾ろうと検討中です(笑)
飾りましたらお写真をアップしますね。
ルシフェルのエッチングと同じ物の油彩、待ってまーす♪

acqua さま:
天使堂にいらしたら、一番上の、acqua さまのお席の番人におつけいたしましょうか(笑)
Posted by 追夢人(ついむと) at 2008年12月08日
★kaoruさん★

剣の炎の輝きがバックに反射して、ケルビム自身をも輝かせているようですね。
この絵が展示されている部屋はけして明るいとは言えない、むしろ薄暗い感じなのですが、この絵はほんとにまぶしいほどに輝いていましたよ〜!!

>黒を多用したお顔のりりしさは

言われてみれば ダークヘアの天使の絵ってあまり見たことがありませんね\(◎o◎)/!
金髪かせいぜいブラウン程度で。
おそらく特定の人物モデルがいたのでしょうが、天使の威厳や凛々しさを表現する上では大成功と言えるでしょう。
Posted by Fu Shusei at 2008年12月08日
★acqua姉さん★

>どついて♪どついて♪♪(あほ)

ケルビム:ツッコミ  姉さん:ボケ ですか?
コンビ名はどうします?(笑)

>地の底に落とされていく死せる人だ。

ミケランジェロの自画像と言われている聖バルトロマイ(の生皮)の右ななめ下の人ですか?

>右の手に力がこもってる。すごいエネルギー

これはきっと神への復讐をもくろんでいるところですね。
蛇の姿を借りてエバを誘惑する前?
それとも
キリストへの荒野の3つの誘惑の前かな?
Posted by Fu Shusei at 2008年12月08日
★マイメロちゃん★

智天使(ケルビム)は天使の階級でいうと上から2番目。
ちなみに「大天使」は意外にも下から2番目です。
英語だと智天使はCherubです。チェラビン(Cherubim)は複数形だから、そのゴスペルなかでは「ケルビムたち」という意味になるね。
ケルビムは聖書に何回も登場します。
だからゴスペルの歌詞にも出てくるのかも。

>それにしてもひげ男爵って!!

クラシカルな服装は私ごのみ(爆)
これは似てるって言われても珍しく怒らないのでした。
Posted by Fu Shusei at 2008年12月08日
★追夢人さん★

無事届いていたとのこと、よかったです!
今回は落ち葉掃除の続きですか(笑)
お疲れさまです。

>ルシフェルのエッチングと同じ物の油彩、待ってまーす♪

ルシフェル特集もやろうやろうと言っているうちに忘れてましたね。
ドレやブレイクの版画と合わせてご紹介したいです。
Posted by Fu Shusei at 2008年12月08日
Fuが禁断したの?
Posted by BlogPetのSEBASTIAN at 2008年12月11日
あらっ!
SEBASTIAN、とうとう出てきちゃった!
Posted by acqua at 2008年12月11日
★acqua姉さん★

あんまり遊んでやってないから
出てきちゃったんですかねー^^;
「禁断したの?」って(笑)

前は週に1度くらいコメントくれてたのに、
最近は数か月に1度になっちゃった!
Posted by Fu Shusei at 2008年12月12日
Fuさまからいただいたシュトゥックの「楽園の番人」ほか3枚の絵葉書を伊豆高原の天使堂の12月の開館日に飾りました♪
拙ブログに写真を数枚アップしました! かっこよく飾れているでしょうか(笑)
トラックバックもさせていただきましたので、よろしくお願いいたします。
Posted by 追夢人(ついむと) at 2008年12月24日
★追夢人さん★

ありがとうございます!!
超かっこいいです!!!!
Posted by Fu Shusei at 2008年12月24日
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Tracked: 2008-12-04 23:00

かっこよく飾れたでしょうか(笑)
Excerpt: 2008年11月にFu さまが贈ってくださったの絵葉書12月の開館日に伊豆高原の天使堂に飾りました♪↑ シュトゥックの「楽園の番人」手前、左から追夢人の大好きなグイド・レーニの「聖母被昇天」、ムリーリ...
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Tracked: 2008-12-24 03:21