2009年06月08日

バンベルクのオバケ ―リーメンシュナイダーを求めてIII(バンベルク編)

※教会内の撮影は、撮影禁止の注意書きがないかどうか確かめ、祈る方々の邪魔にならないよう配慮した上で行なっています。

私の相方はビール・マニアである。
彼がドイツを旅する目的はクラシック音楽とビール…この2つに尽きる。
名高いフランケン・ワインにもまったく興味を示さない彼の頭の中は、バンベルクの燻製ビールのことでいっぱいだった。
マインフランケン博物館でバンベルク大聖堂の皇帝の墓の記述を見つけた時、「しめた!」と思ったに違いない。
これで私はバンベルクでの途中下車に反対することは出来なくなった…彼の思うつぼだ。
いやいや、あの記述をみつけてくれたことに感謝せねばなるまい。
実際にバンベルクを訪れてみて、途中下車が正解だったことを知る。
とても美しい街だ。(なんといっても世界遺産の街だし!)
小雨が降っていたが、それはそれで風情がある。
街についての情報をほとんど持っていなかったので、まずはツーリスト・インフォメーションへ。
地図を手に入れて、すぐに大聖堂へと向かう。
食事時間を含めてたった2時間しか滞在できないのだから急がなければならない。
以下にバンベルクの風景を少し。

小ベニス

小ベニスと呼ばれるあたり。

美しい聖母

美しい聖母の胸像。 

r_b_carmel.jpg

途中、道路工事で大聖堂への道が塞がれており、遠回りの際にカルメル会修道院の横を通った。(立ち寄る時間がない!残念無念。)

大聖堂

大聖堂に着いたときは、もうヘトヘトであった。
入口を入ってすぐのところに教会内部の案内図があり、目的の皇帝(と妃)の墓の位置を確認。
祭壇に向かって一礼してから、墓の彫刻に見入る。
これはなんと丁寧で気品のある仕事だろう!
側面の大天使ミカエルのなんと凛々しいことか。
…ちなみに撮影はことごとく失敗した。
私の安物デジカメでは、墓のまわりに灯されている蝋燭の炎の影響か?どうやってもブレて写ってしまう。
というわけで私の写真ではなく、wikipediaでみつけた写真で見事な大天使ミカエルをご覧いただきましょう。→こちら 
旅の途中で手に入れた解説書で、リーメンシュナイダーが14年もの歳月をかけて彫りあげた皇帝ハインリヒU世とその妻クニクンデの墓であることを知った。

さて、もう一度案内図に戻り、他にチェックすべきところを確認する。
案内図に「リーメンシュナイダー祭壇」の文字を見つけて大喜び。
しかし、私は案内図や地図を読むのが苦手である。
どこだどこだとウロウロ探していると、目の前に真っ青な顔をした相方が現れた。
「ねえ、リーメンシュナイダーの祭壇があるみたいなんだけど、どこだかわかる?」
「ああ、カタコンベの傍で見た。」
「カタコンべ??」
「みんなが降りて行ってるからついて行った。あそこにはなんかいる!背筋がゾーッとした。頭の中もヒヤーッとした。なんかに執り憑かれたのかもしれん。あんたも行って確かめて来い!」
相方は超現実のもの、目に見えないものは一切信じない人である。
そんな彼がこんなことを言うなんてオドロキ以外の何物でもない。
しかし、彼のいうところの地下の「カタコンベ」(実際は何なのか分からない。案内図で確認するのを忘れてしまった。)に降りてみたが、私は何も感じなかった。
たしかに黴くさい匂いはしたが…。
まったくどうしたことやらと思いつつ、カタコンベ?を出た私はリーメンシュナイダー祭壇を見つけた。
ぱっと見は「いかにもリーメンシュナイダー」という印象ではない。
憂いに満ちた聖セバスティアンを見て初めて「あ、やっぱりリーメンシュナイダーかも」と思った。

リーメンシュナイダー祭壇

こちらの祭壇も写真はほぼ全滅。上の1枚が唯一まともに撮れたものだ。
これは中央パネルで、左から聖セバスティアン、世界球と笏杖を持った皇帝(どなたでしょう)、ダルマチカを着た殉教聖人(こちらもアトリビュートからの特定は出来ず。)
日本に帰ってきてから手持ちの資料にこの祭壇についての記述がないか探したが、見つからない。
というわけで、制作年代はおろか、リーメンシュナイダー作なのか、工房作なのか、はたまたリーメンシュナイダーの追従者作なのか未だに分からない。
私自身は工房作という印象を受けたのだが。

食事

大急ぎで教会内を一通りまわって、次は相方が行きたかったという美味しいビールの店に向かった。
私はアルコールを摂取すると目の後ろの血管がひどく痛むようになるので、飲むかどうか迷ったが、結局誘惑に負けてしまった。(そしてこの晩から2日間苦しむはめになった。)
独特の香りとコクがクセになりそうな燻製ビールを飲んだ相方は上機嫌だった。
さきほどの恐怖体験のことはすっかり忘れてしまったようだ。

★★★

帰国後、相方はひどい風邪をひいた。
そして風邪がやっと治ったと思ったら、今度は背中の激痛で充分な睡眠をとることが困難になった。
このところ ブログの更新をしていなかったのは、彼とホスピタルショッピングを続けていたことと、それで私の気分が沈んでいたことからだ。
まだ検査結果が出ていないので、原因も特定できていないし、なんの治療も受けられない状態である。
「やっぱりバンベルクで何かが憑いてきちゃったに違いない!」
2人で冗談のように言っているのだが、確かに、ある意味 彼はバンベルクに執り憑かれていた。
まず、これまで興味を持っていなかったバンベルク交響楽団の来日公演のチケットを購入した。
そして 今度はこう宣言した。
「秋になったらバンベルク交響楽団のブラームス・チクルス(ブラームスの交響曲演奏会)を聴きにバンベルクに行きます。」
「はぁっ!?だってもう日本公演のチケット買ったじゃん!なのにわざわざバンベルクまで聴きに行くの!?」
「行きます。燻製ビールも飲みたいし。それにオバケを帰しに行かんとならんし。」
(オンブ・オバケか!?)
私は皇帝の墓の側面に彫られていた大天使ミカエルを思い出した。
彼は魂を導く。
黒人霊歌の「漕げよマイケル」は、亡くなった人々の魂を導く大天使ミカエルについて歌ったものだという説があると、どこかで読んだことがある。
相方の不調とバンベルクへの拘りが「オバケ」のせいかは不明だが、もし彷徨える魂がここにいるのなら どうかその気の毒な魂を還るべきところに導いて下さい、と私は大天使ミカエルに祈った。

ニュルンベルク&ミュンヘン編に続く。

★★★

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posted by Fu Shusei | Comment(13) | TrackBack(0) | 芸術的呟き
この記事へのコメント
1枚目の写真・・・ドイツおとぎの国ですね。

Fuさんの文章に、引き込まれて読みすすみ、只今、一気にエスプレッソコーヒー飲んだ気分です。

バンベルクへの拘りって、maさか〜ですが・・・
秋にバンベルクに行く為にも
原因がわかって、早く治療ができるといいですね。
Posted by ma at 2009年06月09日
そうですか、やはりバンベルクで・・・。

ヴュルツブルクは1日いてもへとへとにならないのに、なぜかバンベルクは半日でぐったりする街なのでした。
みんなで行けばそれほどでもないのですが、一人でDomに行くと、決まってとっとと帰りたくなるのです。

何かあるのでしょうか、霊廟・・・・

でもDomのとなりのトイレがある広場では、素敵な野外コンサートがあるのです。
いずれ勇気を出して行こうとは思っています。

相方さんの不調も、バンベルクが呼んでいるからなのかもしれませんね。
Posted by りりか at 2009年06月09日
★maさん★

このエリアはほんとにお人形のお家みたいでしたねー。
写真には写っていませんが、横には中国からのツアー客の皆さんがいらして、北京語が飛び交ってました(笑)

>原因がわかって、早く治療ができるといいですね。

整形外科から内科に回されたんですけれど、昨日内科の結果が出まして、脂肪肝(ビール飲みすぎ)以外は極めて健康とのことでした。
また整形外科です…別のトコロ紹介されました。
丈夫が取り柄の相方だっただけに、心配で仕方ありません(T_T)
Posted by Fu Shusei at 2009年06月09日
★りりかさん★

>みんなで行けばそれほどでもないのですが、一人でDomに行くと、決まってとっとと帰りたくなるのです。

わー、そうなんですか!?
私、一番落ち着く場所は聖堂の中なんですけれど、どうもあの大聖堂は落ち着きませんでした。
何故でしょう。
時間がなくて焦っていたから?それとも構造的な問題なのでしょうか。
観光客が多いから…ってことはなさそうです、観光客だらけのケルン大聖堂やシュテファン大聖堂も好きですから…。
やっぱり何かあるのかな~^^;

>相方さんの不調も、バンベルクが呼んでいるからなのかもしれませんね。

なんであんなにバンベルク交響楽団にこだわるのか本当に不思議です。
今まで全く関心がなかったオケなのに…
本人は笑いながら オバケのせいだわー と言っております…。
Posted by Fu Shusei at 2009年06月09日
そうですね~バンベルクの大聖堂は、ケルンともシュテファンともフラウエンとも違うんですよね。

私の住んでいた教区の大聖堂だったので、行く機会には恵まれていたものの、帰りには必ず近くのヤコブや地元の教会に寄り道せずにはいられませんでした(汗

それでも、Domの入口前の階段に座っておにぎりを食べていたくらいですから、居心地はそう悪くはないはずです。
外だったからでしょうか(笑

歴史などを調べてみるといろいろわかるかもしれませんね。

でもバンベルク響は楽しめると思います。



Posted by りりか at 2009年06月09日
同じ地球上とは思えない風景に
貴重な24時間をこんなところで過ごして良いのかという焦燥感が駆け抜けます
こんなところって?
いや、フィリピンです。
しかし・・
美しいね
そして寒そうだよ

先生の体調心配だけど
心療内科とかダメなの?ダメだよね。
ただの疲れとか風邪なら良いんだけどな・・
長引いたら大きな病院で検査してスッキリしたいね
でもきっともうすぐよくなるでしょう。
FUちゃんも気をつけて。
周りが疲れるよね
がんばって
Posted by メロ at 2009年06月09日
きのう、一礼された。
だけど、下車した?
Posted by BlogPetのSEBASTIAN at 2009年06月11日
はじめまして。
天使の画像をさがしていたら貴ブログに到着しました。
美しい絵画と、
貫かれた美意識に深く共感します。
これからも拝見いたします。
Posted by ema at 2009年06月13日
★りりかさん★

>帰りには必ず近くのヤコブや地元の教会に寄り道

そ、それは「お口直し」というやつですか〜。

>Domの入口前の階段に座っておにぎりを食べていたくらいですから、

いいですね!Domの前でおにぎり(笑)
写真に撮ったら、なかなかシュールな図になるかもしれませんね(^。^)

次回はバンベルクには3,4日滞在することになります。
あの内部の落ち着けない雰囲気の秘密を探る時間は十分にありそうです。
Posted by Fu Shusei at 2009年06月15日
★メロちゃん★

焦る必要はありません、写真だけみたら同じ地球上に見えないかもしれませんが、やっぱり地球です。
やっとみつけたトイレの便器に便座がなくて空気椅子状態で用を足す…なんてこと、一度や二度じゃないよ。
何故か、流されていないトイレにもしょっちゅう出くわすんだよね…。
訪れるたびに「日本人の想像するドイツのイメージ」との乖離に愕然となります(笑)

先生は病院に行くのが嫌になり(仕事が忙しいという理由もあるけど)、その後放置状態です。
痛みにも慣れてきたみたいで、少しは眠れるようになったみたい。
内科的に問題がないことがわかったので、ひと安心かな。それが一番こわかったので。両親とも胃癌だから。
整形外科の領域だってことは分かりました。
おそらく、「骨棘」が出来て、それが神経に触れて痛むのではないかと。
引越の前後から首が痛いって言ってたのよ。今思えば、それが「前兆」だったのかも。
本人が病院に行きたがらないから、しばらく様子をみるしかないね〜。

まじで私の方が具合悪くなってます(-"-)
季節的なものと(低気圧苦手)、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら回復していく病気だから仕方ないの。
いまは冬眠の時期だと思って、日々をやり過ごしています。
Posted by Fu Shusei at 2009年06月15日
★emaさん★

コメントありがとうございます(^−^)

>貫かれた美意識に深く共感します。

ありがとうございます♪
貫いてますか?
自分ではよく分かりませんが、そう言っていただけると とてもうれしいです。

>これからも拝見いたします。

最近さぼり気味ですが、最低でも月4回くらいは更新したいと思います。
また覗いてみてくださいね(^。^)
Posted by Fu Shusei at 2009年06月15日
足での雑巾がけはマニラ、
流し忘れのトイレはドイツ、
家に居ながらにして世界旅行と思えばいいか。
でも勝手に減っていく預金はどこの国?
(明日暗証変えてやる)

ミカエルは魂の秤をもってるものね。
招くのでしょう。
ご主人のおんぶお化け、子泣き爺じゃないこと祈ります。
なんたって100貫。

私信:おそろいの作品、来ました♪
感激です!
Posted by acqua at 2009年06月19日
★acqua姉さん★

うーん、スイスでないことは確かです。

>私信:おそろいの作品、来ました♪

彼の人にはお会いになったのかな?
郵送?
お揃いですね♪
Posted by Fu Shusei at 2009年06月19日
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